ストレスやウイルスに負けるな!「音楽の力」で免疫力を高めよう!!

ミュージックトレード 2020年4月号

  2020年4月10日

音楽業界専門誌「ミュージックトレード 2020年4月号」に掲載された記事です。

是非お読みいただいて、ストレスや新型コロナウイルスなどに負けないためにも、「音楽の力」を活用して「自己免疫力」を高めていただけたらと思います。

 以下、原文のまま。
(株)ミュージックトレード社様には掲載了承済み。

免疫力を高め 健康を維持する!! 音楽の力

現代人は、不規則な生活やストレスによって免疫力が低下していると言われる。
「免疫」とは健康を維持するための防護システム。
この免疫力が下がると病原菌やウイルスに冒されやすいという。
またストレスは躁うつ病など精神疾患を引き起こす。
では、予防するには? 効果的なものの一つとされているのが「音楽」である。
そこで、専門家から見た「音楽の力」について語っていただいた。

(澤野)

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「脳の中で様々な働きをする物質の中でも『セロトニン』は、身体と心のメンテナンスに有効なことから『幸せホルモン』と呼ばれており、その活性化には三つのポイントがあります。

一つは太陽を浴びることを意識して生活すること。
もう一つはリズミカルに体を動かすこと。基本的なリズム運動としては、歩行と呼吸と咀嚼という生命活動に直結した行動が、セロトニンの活性化に重要であることが明らかになっています。
そして三つ目がグルーミング。つまり人と人との交わり。おしゃべりしたり、心地よく触れ合うスキンシップなんです。

この三つがセロトニンを増やす因子ですから、それを日常的に実行していると、その人のセロトニンは高い状態にあるので、結果、頭がすっきりして、気持ちもネガティブではなくなり、ちょっと調子が悪いという不定愁訴的な症状も抑えてくれます。

自律神経を整え体調を良くしてくれるという働きは、実はセロトニンが担っているのです。

ところが今の子ども達は、ゲームがあるし、パソコンもスマホもあるので室内で遊べるわけです。
サラリーマンも実は似たり寄ったりで、スマホとパソコンというデジタル機器を、仕事でも家庭でも依存的に使う生活になってしまい、太陽を浴びる機会が減ってしまいました。

こうしたデジタル依存の生活を続けていると、脳内でセロトニン分泌がどんどん悪くなってしまうので、最終的に夜も眠れなくなり、仕事に集中できない、会社に行けないと、ストレスが高じて、いわゆる鬱病になってしまいます。
これが現代のメンタルヘルスの問題なのです。

音楽は歌にしても呼吸のリズム運動なので、セロトニンが活性化されます。吹奏する楽器も同様です。
リズム運動ではドラムサークルも有効です。打楽器を楽しく叩いたら何が起こるのか研究したところ、私はセロトニンが増えることを実際に確認しています。

そういう意味で、楽器が人間の健康のために使われる機会はどんどん広がるのではないかと思います」

 

(本誌2019年8月号インタビュー記事「健康のために音楽・楽器を楽しむ時代」より抜粋/要約)

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「医学の世界では様々な研究が行われていますが、近年、人の内面、とりわけストレスの影響に関する研究が進んでおり、いろいろなことが分かってきました。

基本的に脳の神経細胞は生まれてから以後、新しくできることはないのですが、側頭葉の内側にある海馬と呼ばれる記憶に関わる大事な領域だけは、生まれてからも神経細胞が新たにできる唯一の場所と言われています。

ストレスの何が良くないのかというと、ストレスが海馬の神経新生を抑える方向に働くからです。海馬が委縮するのです。
その結果、海馬の機能不全が起こり、認知症リスクを上げると言われています。

では逆に、幸せだと感じているとどうなるのか。

科学的に言うと主観的幸福度、つまり私がピアノを弾いていて幸せだなと感じるような、たとえ細やかであってもこの主観的幸福度というのは、実はストレスレベルを下げるのです。
結果的に自律神経の中の副交感神経系の活動が上がる。つまりリラックスするのです。

そうすると高血圧や糖尿病、高脂血症という生活習慣病のリスクが下がり、結果的にそういう病気にかかるリスクが減るので平均余命が伸びる。つまり寿命が伸びることになるのです。

楽器演奏は、上手く弾けなくてイライラしたりと、もちろんストレスもあります。
でも何とか弾けた後は爽快だし、満足感も得られます。
ある曲が弾けるようになると、次の曲に挑戦してみようと意欲も高まります。

楽器に限らず趣味というのは、確実に主観的幸福度を上げるのですが、私は楽器演奏はその最たるものではないかと考えています。

現代は、ストレスフリーが難しい社会。だからこそ主観的幸福、つまり楽しいことを自ら見つけることが重要なのです。
楽器演奏は『万病の予防』と言っても過言ではありません。

私は子供を含め一人でも多くの人たちに、ちょっとでも構わないから音楽に、特に楽器演奏に慣れ親しんでほしいと思っているのです」

 

(本誌2019年4月号~6月号までの連載「幼児から高齢者まで楽器演奏で脳生き生き活性化」より抜粋)

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「心療内科医として、企業でメンタルヘルスについて講演する機会がありますが、その際にストレス予防の一つとして、音楽を生活の中に取り入れることはとても良いことだと申し上げています。

また当院ではメール相談も行っており、返信の際には音楽を添付することがあります。
要は楽しむ、安らぐことがストレスの解消となり、生活の糧になります。

ストレス解消で一番身近なことは体を動かすことですが、身体には個人差があって出来ることも様々。
それに対して音楽は好みはあっても、音楽そのものが嫌いという人はまずいない。それでだけ親しみやすいということです。
科学的な証明ではありませんが、音楽を聴いただけでリラックスすることは、誰でも実体験としてあるのではないでしょうか。

100歳時代と言われる今日、メンタルに関してこれまで話してきたことは、全てお年寄りの老化防止や認知症予防に共通することだと思っています。

また生活習慣病など、世にある多くの病気は、原因にストレスが関係しているという研究があります。

ストレスは免疫力を低下させます。
人はストレスを回避しようと努めますが、現代社会においては容易ではありません。

そこで健康生活の基本として私は『1日決算主義』を提唱しています。
そのためには日頃から自分なりのストレス対処法、解消法を身につけておくことが重要です。

私のストレス解消法は、6つのアルファベット『STRESS』です。
SはスポーツのS。アスリートのスポーツではなくラジオ体操やウォーキングです。
Tはトラベル。旅で自然に触れ合います。
Rはレスト(休憩)とレクリエーション。
Eはイーティング(会食)、Sはスィンギング(歌)やスピーキング(会話)のS。
歌うことは呼吸法にもつながり、おしゃべりもストレス解消になります。

そしてもう一つのSはスリープとスマイル。
睡眠の必要性は言うまでもなく、笑顔は人間関係を円滑にします。

たった一度の人生です。心身共に長く健康でありたいものです」

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「不快なストレスや過労などは、意思とは無関係に作動する自律神経の調和を崩し、生活習慣病を引き起こします。
特に、心身を活動モードに導く交感神経が過剰に作動するため、血管が収縮して血圧が上がる、身体が冷えてくる、あるいは脳梗塞などの虚血性疾患が起こりやすくなります。
免疫学的には、血液中の白血球の1種(好中球)が増加するのに対してリンパ球は減少します。
この結果、好中球が取り込んだ病原体などの異物を殺菌する活性酸素が増加する一方、ウイルス感染細胞や癌細胞を撃退するリンパ球機能が低下するため、ウイルス感染症や発がんの危険性が高まってきます。

更に、コルチゾールというストレスホルモンが副腎皮質から多く分泌される結果、血糖値が上昇し、リンパ球機能自体も低下します。
また、身体全体の粘液分泌力が低下し、汗や唾液、涙などが出にくくなり、乾燥肌やドライマウス、ドライアイ等も生じてきます。
粘液には、分泌型IgAという抗体やリゾチームなどの免疫物質が含まれているので、人間の体表面の免疫力も低下することになります。
免疫学的に、こうした身体の悪い状態を改善して、感染症やがんにならない健康な身体を回復するためには、有効な音楽によって交感神経の機能にブレーキをかけて自律神経の調和を整えることが大切です。
交感神経を和らげるのは、副交感神経という脳や心身を安静に導く神経であり、その作用は交感神経と拮抗します。

この観点で、副交感神経を刺激する音楽を活用すれば、免疫力を高めることができるのです。
副交感神経に作用する音の特性として、約4,000ヘルツという高周波音や、川のせせらぎ音のようなゆらぎ、そして和音が豊富なために生まれる倍音があります。
副交感神経刺激の音楽に聴き入るだけで、唾液がよく分泌される、血管が拡張して体温が上昇する、あるいは血圧・心拍がすぐに安定するという反応を実感します。またリンパ球やNK細胞という免疫細胞が活性化します。
種々の音楽の中には交感神経にブレーキをかける副交感神経を刺激する音楽があるので、それを効果的に活用すると、免疫学的に感染防御力が高まり、ストレスで引き起こされる病気を予防することができるのです」

※ 月刊「ミュージックトレード」は書店では販売しておりません。

発行:株式会社ミュージックトレード社
楽器の専門業界誌 ミュージックトレード

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